肝臓癌について①
肝臓癌とは
肝臓にできる癌で最も頻度が高いのが肝細胞癌で全体の約9割、残りの1割が胆管細胞癌という比較的まれな癌があります。肝細胞癌は肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌とともに五大癌に含まれる癌です。肝臓癌の患者数は男性では第5位、女性では第8位ですが、癌による死亡順位で見ると男性4位、女性6位となっており、予後が悪い癌の一つです。
肝細胞癌の高リスクの患者さんとは
肝細胞癌には明らかなリスク因子があり、代表的なものがC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、アルコールです。最近では飲酒歴がなくても、脂肪肝や糖尿病などの生活習慣病を背景にした肝障害、非アルコール性脂肪性肝障害が増えています。肝臓癌は全体的に見ると減少傾向ですが、非アルコール性脂肪性肝障害による発癌が増えており、注意が必要です。
肝臓癌の診断方法はどのようなものがあるか
肝臓癌のリスクが高いと思われる患者さんは、定期的に血液検査や腹部エコー検査を受けることをお勧めします。血液検査ではα-フェトプロテイン(AFP)PIVKA-2といった腫瘍マーカーが肝細胞癌の検査として有用ですが、血液検査のみでは見逃される可能性があります。一般的に行われるスクリーニングの画像検査としては、腹部エコーが最も有用といわれています。肝細胞癌が強く疑われる場合には、精密検査としてCT、MRI検査などが行われます。
立体構築画像。門脈(ピンク)、静脈(青)、腫瘍(緑、赤)の位置関係が把握できる。
肝臓癌の治療方法はどのようなものがあるか
肝細胞癌の治療は、癌の進行度や肝機能によって大きく異なります。癌に対する治療効果の高いものから挙げていくと、手術・ラジオ波焼灼術・カテーテル動脈塞栓術・分子標的薬となります。特殊な治療法として、肝移植もあります。ラジオ波焼灼術は腫瘍に向かって細い針を刺して、熱によって腫瘍と周囲の肝臓を変性させる治療です。カテーテル動脈塞栓術は、腫瘍を栄養する血管を詰めて抗癌剤を流すことで、癌細胞を壊死させる治療です。分子標的薬は癌細胞の増殖を抑える薬で、いわゆる抗癌剤と似たような働きをします。